このサイトのはじめに、遺伝とは神々の領域であると書きました。
生命をつくるということは、創造主にのみあたえられた特権のはずだったからです。
ゲノムを解析するということは、この創造の設計図を手にするということです。
そして私たち人間は、設計図をもとにして実際に創造する技術さえほとんど手に入れようとしています。
ヒトゲノムの解析はあまりにも強大な威力をもった諸刃の剣です。
一方では、不治の病や難病の治療法や新薬の開発に貢献が期待されるとともに、
倫理面・安全性といったところでは、非常な危険を持っています。
新しい技術の効果とそのかのうせいにばかり目を奪われてしまうと、倫理を失い、
人類は人間としての自らをみうしなってしまいかねません。逆にそのことを恐れて、
すべての遺伝子工学技術を禁止し封印してしまえば、
安全に活用して多くの人に利益をあたえることになる発見や発明をつぶしてしまいかねません。
私たちは、この遺伝子工学技術を活用するにあたって、世界的に通用する倫理観の確立と、
それを実際にすべての研究者に遵守させていく制度をつくらなければいけないという難問を抱えました。
そしてそれは、一度解決してしまえばそのあとは永遠に憂いがないということはなく、おそらくは終わりのない問題です。
神々の設計図ゲノムを手にした私たちは、その前にあって自分達の真価を問われているといえるでしょう。
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